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Encode勉強会

9月29日にEnocde勉強会がありました。
https://sites.google.com/site/encode120929/

Encodeについてはこちらを参照してください
http://d.hatena.ne.jp/fukunagaTsu/20120906/1346949604

柏キャンパスの学生間で『皆でEncode輪読しようぜ!』と言っていたのが、あれよあれよと話が大きくなり、いつの間にか参加者は学部生から講師・准教授まで、テレビ会議システムを用いた神戸と東北で3地点同時勉強会に発展していました。柏会場の参加者は40から50名ほどでしたが、全部合わせると80名強はいたのでしょうか。ゲノム研究者のEncodeへの関心の強さが伺えます。オーガナイザーである尾崎さんに感謝します。

勉強会ですがとても有益でした。各論文10分ずつだったとはいえ、Encodeだけ36本も論文を読むのは実質的に無理であり、『全体的な傾向をつかむ』という事と、『自分が読むべき論文を見定める』というセレクションには非常に有効だったと思います。強いて問題点があるとすれば、Nature論文の面白さと、Genome Biology論文の駄目さの差がひどすぎたので、Nature15分にして、Genome Biology5分にした方がよかったなー、というくらいですねw

Encode勉強会の特徴としては、Chip-seq、RNA-seq、DNase-seqが大半で、メチローム解析やCLIP-seqについてはほとんど見られなかったこと。(実験の難しさからだと思いますが、PBAT法が普及すると今後全ゲノムメチロームも増えるのかも) あと病気の原因につなげようとする方向が多かったことでしょうか。(岩崎さん曰くたくさんお金がかかっているのでその方向に進むのは間違いないらしい) しかしこれだけ機能領域が広がると、Exomeは完全にオワコン感がただよいます・・。(Exon以外に病因SNPが多いこと、Exomeは完全なExon解読を達成していないこと、いちいち手間をかけるより全ゲノム読んじゃったほうが今後コストが下がりそうなこと(by伊藤先生)) あと、機械学習などcomputationalな技法についてはイマイチなものが多いように感じました。また、横軸及びネットワークの解析は進めど進化的な解析はほとんどされていない(Encodeでされる予定もなさそう)なので、そういう方向からデータをつついてみると、何か面白いことが出てくるのかもしれないです。

大変興味深かったのは以下の3つ。(この3つをあげるヒトがやはり多いように思いますが)

『An expansive human regulatory lexicon encoded in transcription factor footprints』にて、転写因子の立体構造からclevageの形が変わっていると言う点(本当にこんなに上手くいくのだろうか)

『 Architecture of the human regulatory network derived from ENCODE data』にて、FOSはproximalとdistalで状況によって共結合するTFが異なると言う点

『 Evidence of abundant purifying selection in humans for recently acquired regulatory functions.』にて、Encodeにおける昨日領域とconservation領域の差から、ヒト特有のnegative selectionと最近機能を失った領域を推定したという点

今後の続報が楽しみです。