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メダカの動きの研究

学融合ビジュアライゼーションシンポジウムに少し出てみました。

http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/bioimaging/Contents/20110624.pdf

13:30〜14:15の尾田先生の「メダカの動きの研究」というやつですね。もし私が中谷研に行っていたらおそらく手伝っていただろう研究です。まぁそれだから聞きにいったんですけど。話は大きく分けて2つあったのですが、印象としては「画像はいっぱいあって解析したら面白いんだがコンピューターに詳しくないからできません、誰か手伝ってくれませんか」という感じです。

1つ目の話は、「メダカのヒレの動きは繊細かつ複雑で、犬のしっぽのようのものである(が、人力で解析すると大変なので誰か画像解析手伝ってください)」というものです。

例えば、若い個体と老いた個体を比較すると、若い個体の方が胸ヒレの動きが安定しているそうです。これを、上から動画を取り、静止画から手動で角度を計測して時系列ごとに並べると、老いているほうが触れ幅が大きいという事で主張していました。が、個体が1個体ずつであり、やや心もとないので大規模化したいのですが、手動ではあまりに大変だという話です。画像を見た限りでは、胸ヒレそのものは鮮明に移っていて、また捉えやすい特徴であるため、角度を求めるだけならそれほど難しくはないと思われます。他にも、光を当てると驚いてヒレの速度が上がるとか、交尾中はヒレの速度が上がるとか具体例が示されていました。これは示されたものでは解像度がきついような気がしました(もっとよい解像度で取れるのかもしれませんが)。

2つ目の話は、「水質監視システムを利用することにより、リアルタイムで24時間メダカの動きを追跡するシステムを開発した(ただし、人力で(ry)」というものです。

行動解析システムというのは、マウスなどでも開発されているそうですが、これは時間が短時間であり、また撮った動画を後で解析するといったようなものであり、リアルタイム24時間というものはないそうです。へぇ。赤外線を横切ったかどうかで行動を記録するそうですが、1つのポイントあたり、1秒10回×60秒×60分×24時間=864000ポイントあって、それを4匹10日やったので、1ポイント当たり3456万ポイントのデータがあって、コンピューターに通じていないととても解析できないとのこと。

これは、今後宇宙ステーションで、放射線の影響によりメダカの交尾行動にどのように変化があるかという研究へと進んでいくそうです。(ショウジョウバエ生殖細胞放射線の影響が見られたという研究があったそうで、脊椎動物でメダカをやるそうです。) 

研究の方向としては、メダカの動きの変化を指標に個体の健康状態などを分析し、またストレスの影響評価など自律神経の研究にもつなげていきたいとの事です。尾田先生いわく、「最新のバイオイメージングとはただよく見る事だ」との事で、上記の胸ヒレの動きを初めよくみる事でまだたくさんのことがわかり、それをコンピューターやビデオカメラなどを使うことで詳細な計測が可能になったのではないか、というお話でした。


さて、感想ですが。いやー、面白かったです。非常に。もともと行動とか大好きですからねっ。画像処理には元々興味があるので、在学中に一度は手を出しておきたいと思います。ただ、画像処理だけで生きていくのは結構難しいかなと思いまする。

それは、「実験系との共同研究はdelayも出るし、研究計画も変更になりやすいから、constantに論文を出すためにはpublic dataだけでの研究もした方がよい」という話になるほど、と思ったためです。public dataだけで研究をするためには、ある一定レベルのtechnicalな力が求められると思うのですが、画像処理はイメージ的に時間の大半をぐちゃぐちゃどろどろの処理に追われるような気がしてしまいます。それに、画像はゲノムとは違って生物学的な階層が広すぎて、新しい画像がくるたびに新しい生物学的知識を毎回勉強しなければならず結構つらい気がします。楽しいともいえるのかもしれませんが。そして何より、画像のデータベースが出来てきても、中々informationの立場から仮説を提唱しにくいように思います。・・これはもう少し考えが必要かもしれませんが。

まぁまずは今目の前にある研究テーマを完結させて、次のテーマの見通しも立ち余裕が出来てからの話ですね。当然ですが。